Solo
ai-198x300.jpg)
First three-year plan / 第一次三カ年計画(2020-2023)
Tatekawa Kiyoshiro film collection
作品の生産に次ぐ生産こそが作家生命の根源であり作品の生産停止は作家の消失を意味する。急速な映像機器・記録媒体のデジタル化により映像作品を大量に生産することが可能となった現在、作家は存在意義をかけ更なる作品増産に着手しなければならない。ここに継続的・安定的作品増産が図れるよう「第一次三カ年計画」を作成した。
Group

material zone=物質地帯
映像表現の表層と深層
「建築映画に気付くということは、物語や意味を中心に捉えた従来の映画の鑑方、語り方から自由になることだ。別の観方・語り方を発見することだ。/ マテリアル・サスペンスは映像の未だ名付けられていないある種の性質を指す。あえて言葉にすれば、スクリーンを破綻させかねないほどまでに物質性が横溢し、映像が毛羽立っているような感触のことだ。ぼくは自分の仕事を「物質試行」と呼び、それに順次番号を付けてきた(中略)最新作の「物質試行53KINO」は、言葉通りの「建築映画」出現の試みだった。」と建築家・鈴木了二は、著者「建築映画 マテリアル・サスペンス」(2013年/LIXIL出版)で記している。
鈴木了二は、主に商業映画から建築映画、マテリアル・サスペンスの領域を抽出したが、実験映画には、『中央地帯(1971年/カナダ/マイケル・スノウ監督)』や『ヴェネツィア時代の彼女の名前(1976年/フランス/マルグリット・デュラス監督)』など作品自体が建築映画、マテリアル・サスペンスの領域だけで成立しているものも多くある。しかし現在では、コンセプト、イメージ優先の作品が多く、かつての感覚と思考の変革を迫ってくるような緊張感を備えた物質性の高い映像は、なかなか観られないように感じる。そこで非物語で物質性の高い触覚的映像作品を制作している作家による上映会を企画した。
2019年に試みられた2回の上映プログラムを経て、このコンセプトをベースとする上映会は、「物質地帯」と命名された。今後、継続して企画されるこの上映会において、映像表現の表層と深層が探られることになるだろう。物質地帯への彷徨が、いま、始まる。 立川清志楼(プログラム・キュレーション)