Artist statement
リアルな映像とは何か?森敦は著者「意味の変容」で「外部の実現が内部の現実と接続するとき、これをリアリズムという。」と述べている。リアルな映像とは内部、つまり鑑賞者の脳への働きかけが重要である。いやこれこそリアルの本質ではないか。現実の世界に存在しない抽象の映像にリアルを感じるのも脳がそれを現実と理解するからであり、視覚だけでない別の感覚が脳にあるからこそリアリズムは成立するのである。ではリアリズムを成立するにはどうするか。作家の内部現実と鑑賞者の内部現実を共鳴させるのである。わたしは内部現実の実体は言葉より感覚が優先すると考える。ならば国・文化により異なる言葉より、視覚による映像の方が共鳴しやすいはずである。共鳴とは外部振動の刺激に対して内部の振幅が増大する現象である。ゆえにリアルな映像は作家の内部現実を増大させ鑑賞者の内部現実を拡張する。森敦は「われわれのリアリズムは倍率一倍と称する倍率一・二五倍である。」とも述べている。映像はリアルでなければならない。
上映作品(5作品46分16秒)
Part 254 写焦 / 5分24秒 / 2024
写真の動画化、固定カメラで撮影した動画からコマを切り出しプリント、プリントした写真をコマ撮りし音響を追加。
変容する視覚変化を体感する作品。
Part 255 変差Ⅷ / 12分39秒 / 2024
時間差で分割される表層、固定カメラで撮影した画像の時間をずらし線状レイヤーとして縦と横に多重化する。
視覚変化と音響を体感する作品。
Part 256 挿言Ⅴ / 12分36秒 / 2024
映像と言葉の拮抗、映像と言葉を交互に編集する。
映像と言葉のリズムを体感する作品。
Part 257 喪画Ⅲ / 5分36秒 / 2024
変化する表層の動き、複数の写真が分解する過程をコマ撮りし動画化。
変容する視覚変化を体感する作品。
Part 258 定況 / 9分6秒 / 2024
停止した視野と時間の推移、固定カメラで撮影した画像に音響を追加。
表層と音響を体感する作品。
Tatekawa Kiyoshiro film collection Archive
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