
Artist statement
ミハイル・バフチンが「ドストエフスキーの詩学」で提唱したドストエフスキー文学におけるポリフォニーの手法(様々な立場・意見・人格の登場人物を自律的に対話させることで、作家以外の複数の視点が共存する物語を構成する)によって描かれる世界。錯綜する言葉から個々の概念を衝突させ混沌とした世界を描き出す、まさに文学ならではの表現法である。それでは映像におけるポリフォニーの手法とはどういうことか?映像そのものは物質を二次元に複写しているにすぎず、カメラは基本的にフレーム内の被写体しか捉えることは出来ない。映像とは本来限りなく唯物的であり、それのみで概念を誘発するには心もとない。そこで言葉・物語を映像に加え編集を施すことで映像は概念化することに成功した。映画の成功の歴史がそれを証明している。しかし、あえて言葉・物語を用いない映像ならではのポリフォニーをつくりだせないものだろうか?映像ならではの特質を生かした表現で唯物的に世界を描くのだ。だがその方法はすでに存在している。定点撮影、編集なしの初期映画作品、リュミエールの駅や工場風景は、より唯物的である。初上映時、映像の走る蒸気機関車から観客が逃げ出したエピソードはそれを証明する。リュミエールは世界各地に撮影者を派遣し約1500本の作品を残した。映画初期におけるリュミエールの仕事とは、まさに純粋な映像におけるポリフォニーの手法だった。それらは永遠の憧れであり目標である。
上映作品(5作品40分40秒)
Part 287 水景Ⅱ / 9分06秒 / 2025

定点観測される映像、固定カメラで撮影した画像を編集。
視覚変化と音響を体感する作品。
Part 288 変差XⅣ / 8分05秒 / 2025

時間差で分割される表層、固定カメラで撮影した画像の時間をずらし格子状に編集。
視覚変化と音響を体感する作品。
Part 289 無音 / 7分06秒 / 2025

定点観測される映像、固定カメラで撮影した画像を編集。
音響を排除した視覚変化のみを体感する作品。
Part 290 雑況 / 8分05秒 / 2025

複数の映像によるモンタージュ、固定カメラで撮影した画像に音響を追加。
視覚変化と音響変化を体感する作品。
Part 291 現画Ⅲ / 7分24秒 / 2025

変化する表層の動き、写真にドリップペイントする過程と固定カメラで撮影した動画を編集。
変容する視覚変化と音響を体感する作品。
予告映像
記録映像
Tatekawa Kiyoshiro film collection Archive
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