material zone=物質地帯3

会場:三鷹SCOOL

   東京都三鷹市下連雀 3-33-6 三京ユニオンビル 5F

日時:2020年12月19日(土曜日)①17:00上映 ②20:00上映  

料金:フリーパス1000円

上映作品(5作品87分

1「zone_004」 立川清志楼/デジタル/10分/2020

2「April 25」マルコ・マッツィ/デジタル/14分/2020

3「Silent Sound」 小松浩子/8ミリ・サイレント/15分/2020

4「CONTROL」 アルマンド・ルラージ/デジタル/35分/2018

5「Kentucky Pride Benjamin part1」 金村修/デジタル・サイレント/13分/2016

Artist statement

「ZONE_004」立川清志楼(写真家・映像作家)

常に映像の言語化を要求されるが、言語化すればするほど、言語と映像との乖離を感じる。観るたびに何かを発見するのが実験映画であり、言語の意味を超えた触覚的感覚こそ実験映画の本質である。
故に映像を物語や社会的メタファーとしてのみ捉える人々には「面白くない!解らない!退屈だ!」と嫌悪される。しかし、この嫌悪感と退屈さこそ実験映画たる証明である。万人に受け入れられる実験映画など存在しない。

「ZONE_004」立川清志楼
「April 25」マルコ・マッツィ(ビデオアーティスト・ペインター)

解放記念日は、イタリア解放記念日、レジスタンス記念日、または単に4月25日とも呼ばれ、第二次世界大戦中のファシスト政権とナチスドイツの占領が終わり、イタリアでレジスタンスが勝利したことを記念するイタリアの祝日である。
1945年のこの日、上伊民族解放委員会(CLNAI)がラジオアナウンスで正式に反乱を宣言し、CLNAIによる権力の掌握を命じるとともに、ファシストの指導者全員(3日後に射殺されたベニート・ムッソリーニを含む)に死刑を宣告した。
この動画は2018年4月25日に撮影された。郊外でパルクールをする2人の少女、おにぎりを食べる子ども、「ゾンビ」の話を聞く子ども、その日フィレンツェの街で観たものである。

「April 25」Marco Mazzi
Silent Sound」小松浩子(写真家)

労働価値説によれば、労働そのもの・労働手段・労働対象により構成された労働過程は人間と自然との間の物質代謝の条件であり、人間は道具を作る動物(a tool-making animal)として労働手段を使用して生産物を生み出していたが、工業化が促進され自然と乖離した状態で人間は生産の労働過程に組み込まれた。

Silent Sound」小松浩子
「CONTROL」/ アルマンド・ルラージ(アーティスト・フィルムメイカー)

アルバニアで最も交通量の多い高速道路の脇、Voreという小さな町の入り口を出たところに、何年も放置されたままの看板がある。真っ白な看板の表面はスクリーンを強く想起させ、目の前を通り過ぎるものすべてを、文字通りにも比喩的にも、終わりのない映画の断片へと効果的に変化させている。高速道路の反対側から1台の静止カメラが看板に向けられた35分の映像『Control』は、高速道路・交通・通行人など、周囲の風景の中にある他の何かと同じように、この一見終わりのない映画の一部となっている。フレームの前景に同じ男の手が現れ、親指と中指の間に目に見えて緊張感が生まれ、カメラ(と看板)の前を誰かが通り過ぎようとしていることを告げるクリック音が鳴り響き、まるで魔法をかけているかのような錯覚に陥る。(文:ジョニダ・ガシ)

「CONTROL」Armando Lulaj
「Kentucky Pride Benjamin part 1」/ 金村修(写真家)

ドゥルーズが『千のプラトー-資本主義と分裂症』の中で、「いかなる芸術も模倣的ではなく、模倣的でも具象的でもありえない。ある画家がある鳥を「描く」としょう。実際、それは鳥への生成変化であるが、それは鳥そのものが別のものに、純粋な線と純粋な色彩に生成変化する途上にあるからこそ、可能となるのである」と書いてあった。映像は対象の再現ではなく、対象を別の何かに変化させることではないだろうか。対象に限りなく似ているけれど、まるで別のものに変化させる映像。それは対象を忠実に再現するのではなく、対象をカメラの中に分解して再構築する。動物を描く画家のことを、ドゥルーズは「動物になる」といった。それは動物と一体化することではなく、線と色彩に解体された動物を描くことであり、現実の動物とはまた別の動物、非対称的な動物を描くことなのだ。映像とはもう一つの現実であり、現実を参照しながらも、それとはまったく非対称な現実を作るだろう。

「Kentucky Pride Benjamin part 1」金村修